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2015-02-06 22:14    ルイヴィトンモノグラムマルチカラーキーケース
「はじめてだよ」 「こういうところ、本当にはじめて?」 「はじめてだよ」 「そうだろうな。手がふるえてるもの」  そう言われてから、私は猪《ちょ》口《く》をもつ自分の手が慄《ふる》えているのに気づいた。 「ほんまやったら、まり子さんは今夜はまん《・・》がええな」と遣手が言った。 「ほんまかどうか、もうじきわかるわねえ」  とまり子はぞんざいに言った。しかしその言葉に肉感はなく、まり子の心は、私の肉体とも彼女の肉体とも関わりのない場所に、遊びはぐれた子供のように、遊んでいるのが私には見てとれた。まり子は薄みどりのブラウスに、黄いろいスカートをはいていた。朋輩《ほうばい》に借りていたずらをしたのか、両手の親指の爪だけを赤く染めていた。  やがて八畳の寝間に入ったとき、まり子は蒲《ふ》団《とん》の上へ片足を踏み出して、電燈の傘《かさ》から長く垂れた紐《ひも》を引いた。明りの下にあざやかな友禅《ゆうぜん》の蒲団がうかび上った。仏蘭西《フランス》人形を飾った立派な床の間のついた部屋である。  私は不器用に脱衣した。まり子は薄桃いろのタオル地のゆかたを肩にかけ、その下でたくみに洋服を脱いでいた。私は枕《まくら》もとの水をたんと呑《の》んだ。その水音をきいて、 「あんた、水呑みやねえ」  と女はむこうを向いたまま笑っていた。そして床に入って顔を見合わせてからも、私の鼻を指先で軽くつついて、 「本当にはじめて遊ぶの」  と云って笑った。暗い枕行燈《まくらあんどん》のあかりの中でも、私は見ることを忘れなかった。見ることが私の生きている証拠だったから。それにしても他人の二つの目が、こんなに近くに在るのを見るのははじめてだった。私の見ていた世界の遠近法は崩壊した。他人はおそれげもなく私の存在を犯し、その体温や安香水の匂《にお》いもろとも、少しずつ水嵩《みずかさ》を増して浸水し、私を涵《ひた》してしまった。私は他人の世界がこんな風に融けてしまうのをはじめて見た《・・》のである。  私は全く普遍的な単位の、一人の男として扱われていた。誰も私をそんな風に扱えるとは想像していなかった。私からは吃りが脱ぎ去られ、醜さや貧しさが脱ぎ去られ、かくて脱衣のあとにも、数限りない脱衣が重ねられた。私はたしかに快感に到達していたが、その快感を味わっているのが私だとは信じられなかった。遠いところで、私を疎《そ》外《がい》している感覚が湧《わ》き立ち、やがて崩折れた。……私は忽《たちま》ち身を離して、額を枕にあてがい、冷えて痺《しび》れた頭の一部を、拳《こぶし》で軽く叩《たた》いた。それから、あらゆるものから置き去りにされたような感じに襲われたが、それも涙の出るほどではなかった。  事の後の寝物語に、女が名古屋から流れて来たことなどを話しているのを、おぼろげに聴きながら、私は金閣のことばかり考えていた。それは実に抽象的な思《し》索《さく》で、いつものように肉感の重く澱《よど》んだ考えではなかった。